神楽坂建築塾 第五期 修了論文

湘南の生活とは

  神楽坂建築塾塾生 谷岸 潔

目次

1.湘南との出会い

3.地域別の考察

2.ところで「湘南」とはどこを指すのか?

4.湘南に暮らしてみて

  

1.湘南との出会い

 昔、漠然と海の近くに住んでみたいと思っていた。その海というのは、自分としては、多分湘南あたりをイメージしていたような気がする。当時、茅ヶ崎、鎌倉、逗子など湘南に住んでいる友人、知人に詳しく湘南の生活を聞いてみると、皆、口を揃えて「通勤だけ少々我慢すれば、生活は最高だよ」と言っていた。「湘南=海辺の生活」とは一体どういうものなのか、という興味や憧れが結構あったが、いざ住もうとあれこれ考えてみると、結局通勤のことを考えてしまい、やっぱり通勤に便利な東京の生活を続けようということにいつもなってしまっていた。というよりも、海の近くに何としても住もうという、そこまで強い願望が結局無かったと思う。
 しかし、たまたま海外勤務からの帰国赴任先が藤沢になったことが一つのきっかけで、念願であった湘南生活が始まった。

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2.ところで「湘南」とはどこを指すのか?

 「湘南海岸」「湘南方面」「湘南電車」など「湘南」という言葉を聞くときに、実際、「湘南」はどこかというと、明確な定義はないらしい。正式に「湘南」=「この地域、A市とB市、C川からD川までの間」などというように限定できない。
 試しに湘南の各地の住人に聞いてみると、

「葉山」住人:「大磯からここ葉山までが湘南でしょう」
「鎌倉」住人:「そうだね、葉山から茅ヶ崎くらいまでが湘南かな。もちろん鎌倉も入るけど、ここは鎌倉時代から歴史のある場所なので、湘南というよりも鎌倉と言ってもらう方が嬉しいね。
「藤沢」住人:「湘南?そりゃ藤沢が中心だよ。範囲?考えたこともないけど、東海道線の藤沢駅を中心に西は大磯、東は油壺くらいまでが湘南じゃないの」
「平塚」住人:「湘南は茅ヶ崎と藤沢。歴史的には平塚は茅ヶ崎なんかよりずっと古くから栄えていたんだよ。ただし、大きな意味では平塚も湘南に入ると思うよ。」
そして「大磯」住人:「湘南?おたく何いってんの?大磯に決まってんじゃない。日本の海水浴場の発祥だし、湘南発祥の石碑も立っているし、とにかく湘南は大磯のこと。範囲?そんなものあるわけないよ」

とまあ、こんな感じで、自分がどこに住んでいるかで、湘南ということばの意味、そして範囲など、実に様々である。
 JR東海道線の大磯駅から国道1号線を小田原方面に少し行った左側の「鴫立庵(しぎたつあん)」には「湘南発祥の石碑」がある。石碑の横に説明看板があり、そこには、「中国の湖南省にある洞底湖のほとりにある街、「湘江」の南側を「湘南」といい、大磯がこの地に似ているところから湘南と呼ばれるようになりました」と確かに書いてある。しかし、その看板の記述が平成8年4月となっているのは、一体どういう意味だろうか?
 結局のところ、「湘南」の指す範囲を明確には定義できないのであるが、少ない自分の湘南での経験と、前述の各地の意見を総合してみると、湘南とは、海側の範囲は、東は葉山、そして西は大磯までの相模湾に面したあたり、山側は、東は横須賀線、西側は東海道線の線路までのエリアを指し、中心はどこかというと、これまた難しいが、敢えて言えばエリア的には藤沢あたりが中心だと言えると思うが、住んでいる人々に言わせると、自分の住んでいる場所が「湘南の中心」だと思っているらしい。こういうプライドは結構見聞きしても楽しいものである。

 

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3.地域別の考察

逗子、葉山
東京方面への通勤者が他の地域に比べて少ない。その分、地域全体にゆったりした雰囲気が感じられる。ヨットやクルーザーを楽しむ人も結構多く、湘南エリアでも生活にゆとりのある人々がしっかりと地域を支えているような気がする。

鎌倉
 鶴岡八幡宮、鎌倉大仏など湘南地区最大の観光地を有する鎌倉市。至るところに鎌倉時代からの歴史を誇る神社仏閣があり、鎌倉山、源氏山など起伏に富んでいるエリア、そして腰越漁港など湘南で最も面白い地域と言えよう。江ノ電沿線、鎌倉高校前〜七里ヶ浜〜稲村ヶ崎の海岸線の景色も、湘南一美しい。

藤沢、茅ヶ崎
 江ノ島から鵠沼海岸、辻堂、茅ヶ崎と相模川までのエリア。日本のサーフィン発祥地である鵠沼海岸、加山雄三、サザンの桑田で有名な茅ヶ崎など、湘南の中心地としての役割は強い。一遍時宗の総本山「遊行寺」、東海道の宿場町「藤沢」など東海道線の山側は昔から栄えていたが、海側のエリアは太平洋戦争後まで一部の別荘地を除いて、ほとんど砂地であった。夏季、および週末の車の渋滞は、湘南一凄まじいが、土地が平坦であるため自転車保有台数も多く、海辺の遊歩道(サイクリングロード)をのんびり走っていると、車社会とは全く別の世界を楽しめる。湘南一ゴミの分別回収が厳しく、各町内会では、毎日当番を決め、ゴミの分別をチェックしている。

平塚
湘南エリアにおいて、東京への通勤というポイントで考えてみるとベストのエリアが平塚である。駅までの距離、東京までの所用時間、そして車内混雑状況など、湘南の中でも高得点をマークする。道幅も広く、全体的に落ち着いた雰囲気である。大型のショッピングセンターも多く、物価も湘南エリアでは安い方である。平塚の海は波打ち際から急に深くなる場所が多いため、遊泳禁止区域が多い。そのため、ビーチは空いている。

大磯
 とても静かな町である。湘南の全体のイメージとはかなり趣が異なり、大磯は「スローライフ」を文字通り町全体が謳歌しているような気がする。湘南の東端の葉山と町の雰囲気がなぜか似ており、一戸建ての家が多く、昔から住んでいる人や、別荘として東京から週末だけ生活している人も多い。湘南の発祥はまさに大磯だと誰もが確信できる素敵な町である。

 

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4.湘南に暮らしてみて

気に入っている点
・海沿い見える富士山が美しい
・地域全体としてのんびりしている
・1年中ビーチサンダルでどこへでも行ける
・週末にお金を使わなくなった
・魚(大衆的な魚)が安くて旨い
・デザイン、色、材料など自己主張の強い家が多い

我慢しなければならない点
・毎日の通勤(東京までの場合)
・海風が強く、自転車、車、家のサッシなどすぐに錆がつく
・週末、および夏季における物凄い車の渋滞
・東京で酒を飲む場合、遅くまで飲んでいられない
・道路が狭く入り組んでいるため運転しにくい


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