武蔵野美術大学通信教育●建築論
鈴木喜一建築計画工房新築事例

轟 邸
2001
東京都

写真:アトリエR

●内と外がつながった家

 施主家族が神楽坂のアトリエを訪ねて来たのは1999年11月のことだった。奥さんが神楽坂建築塾の講義録生であることから、初対面だったがなごやかな会談になった。
 彼らのコンセプトはまず、「土地とつながった家」、「時の経過とともに味がでてくる素直な家」ということであり、次に「便利な快適さより、自由な空気が流れる心地よさを」、しかも「すっきりした明るいデザインの家に」という要望だった。
 5歳の子供がいたこともあり、出来るだけ自然素材で建てたいということ、薪ストーブのある生活を楽しみたいという希望も持っていた。
 何度かアトリエで打ち合わせを重ねるうちに、内部と外部を柔らかくつなげようというプランがごく自然につくられていった。
 一階の土間空間や大広間(台所・食堂・居間・予備室)は外部と密接につながり、二階の浴室や寝室も、庭に面した平面計画ができあがった。
 内にいても外とつながっている感覚、明るい空気の流れをいつも実感できるような家にしようということになった。
 とりわけ二階中央につくった浴室は施主のユニークなアイデアでもあった。ガラスの大窓を持つ浴室は、眺めがよく風が実にさわやかに通り抜ける。このくつろぎの空間は、リボールマイティの強力な防水技術によって実現することになった。
 また、施主は素材の一つ一つの選定に積極的にかかわり、北海道産の床材やローコストの珪藻土を提供してくれた。そのいずれもが納得のいくクオリティを持ち、この家の心地よさを支えている。
家族が年を重ねるように、家もまたともに成長していく。当初はなかったデッキやパーゴラ、砂場も加わり、竣工後一年のうちに、この家は住む人の手によってどんどん表情が豊かになってきた。これからさらにどのように変化していくのかほんとうに楽しみだ。                      (住宅建築2002年7月号掲載)


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