|
|
|
|
|
|
|||||||||
はじめに |
|||||||||
|
|
住宅雑誌や広告などを見ていると“パッシブ(受動的)”という言葉をよく目にします。元々は機械設備を用いないで建築自体が持つ自然換気や自然蓄熱能力によって太陽熱を利用するパッシブソーラーシステムからきている言葉ですが、今は機械に頼らず設計や施工の工夫により自然のエネルギーをコントロールして住宅空間を快適に保つ方法を幅広くパッシブと呼んでいるようです。言葉は最近のものですが日本の伝統的な民家にはパッシブとも呼べる建築上の工夫が随所に見受けられる。 例えば住宅には付き物だった縁側ですが、近所の人たちの接客空間や農家の作業場、そして今日で言うサンルーム的なスペースとして使用されていただけでなく、空気の断熱層を作ることで外部との温度差を調整する役目も果たしていた。 このように伝統的な工法や素材が持つ特性を見直していきたいと思う。 |
||||||||
1.木 |
|||||||||
|
|
木の特徴は既にご承知の通り、強度の割に軽く、曲げに強く、加工が容易と長所がいくつも挙げられます。木材の強度は200〜300年というスパンでほとんど変わらず、ヒノキは伐採後200〜300年位まではむしろ強度が2〜3割増加する。加えて、木材の中にある無数の小さい孔、かつては水の通り道だったものが乾燥して空気孔となり、その孔こそが木材の最大の特性の一つである断熱効果を実現している。木材の中の孔には大量の空気が含まれており静止した空気は熱を伝えにくいという特性がある。熱伝導率が0.1kcal/mh℃以下のものを断熱材と呼ぶが、その断熱材の熱損失が1とすると、木材は2倍なのに対しコンクリートは30倍もある。つまりコンクリートは木材の15倍も熱を失いやすい訳である。ちなみに、伝統的な建具である障子も高い断熱効果をもっている。ガラス窓だけの時の熱貫流率が5.88 kcal/Fh℃なのに対し障子を加えると2.63 kcal/Fh℃と半減し、カーテンを加えた時の 3.45 kcal/Fh℃より低いことも判っている。 しかも、木は高い調湿機能も持ち合わせている。木の調湿作用が正常に働いている家では一日の湿度が50%前後の中に収まっている。また、光の反射率に注目してみると、太陽の光に照らされると、アルミやタイルは光の90%を反射する。これに対し木の場合はヒノキで約60%、杉で40%と光の反射を低減してくれる。人の目に心地よい光の反射率は50〜60%とされ、木は室内に射し込む太陽の光を程よく調整してくれる。
|
||||||||
2―1.貫工法 |
|||||||||
|
|
住宅の耐震性は粘りと強さの二つのベクトルから考えられている。粘りとは家が傾きつつも全倒壊しないしぶとさで、強さとはどんな揺れでもびくともしない強靭さを言う。代表的な構法で比較すると、パネル構法が最も強く、次に2×4構法、筋交いを入れた在来構法、最後に貫を使った伝統工法の順になる。しかし、粘りの観点からみると全く逆になる。つまり、伝統構法は最も粘りはあるが強さに欠けている。 しかも、歴史的に見て十分な耐震性を発揮するには貫の量が少なかったのは確かである。貫を入れることで柱の一部が切り取られてしなうため、すべての柱を30cm角にした上で貫を5〜7本入れないと現代の耐震基準に満たないという説もある。 また、貫構造には一般の耐力要素に比べて以下の特徴がある。 1) 大地震時には接合部がめり込み変形する。 2) 施工精度や経年変化で接合部の剛性が低下する。 3)木構造に精通した設計者・大工職人でなければディテール、材料、メンテナンスまで含めて細やかな配慮を行うことが難しい
|
||||||||
3.土 |
|||||||||
|
|
昔から日本では「木と土の家づくり」が行われてきた。壁として、また作業場や通り庭として土間や三和土など土は自然に家の中に取り入れられてきた。土の特性として知られているのが自硬性と多孔質である。自硬性とは自らか硬くなるという性質で、水を加えて軟らかくなった土が乾燥して硬い壁になるのはこの自硬性によるものだ。多孔質とはスポンジのようにたくさんの孔があるものを指し、土の壁が木と同様に優れた調湿性、断熱性、耐火性、遮音性、脱臭性を持つのはこの多孔質によるところが大きい。また、土壁の表面は適度な湿度が保たれているため電気刺激が発生しにくく、ホコリが付きにくいとも言われている。
|
||||||||
4.草 |
|||||||||
|
|
草は色々な場面で活躍してきた。
4−2.草葺き屋根 古民家の屋根で一般的なのが茅やわらなどの草葺き屋根である。草葺きは素材の中心や素材と素材の間にたくさんの空気層をつくることで、高い断熱効果と遮音効果を発揮させる優秀な屋根材であるが防火性が著しく欠けるので現在ではほとんど見かけない。
|
||||||||
|
|
日本で古くから利用されてきた自然塗料といえば漆、柿渋、木蝋、蜜蝋、亜麻仁油、大豆油、桐油などがある。いずれも防虫、防腐、防水、防汚に優れた効果を発揮し、これらの自然塗料には科学塗料のような防腐剤、防虫剤、防カビ剤、接着剤、硬化剤、添加剤、乾燥剤、重金属類などは含まれていない。その特性は木に深く浸透し通気性、調湿性を妨げず、撥水性も高く湿気の多い場所でも使え、含浸性のため、ワレ、ハガレ、メクレなども少ない。しかし、一般に自然塗料の粘膜は弱いものであり、化学塗料に比べて耐久性に劣る。
|
||||||||
|
|
参考文献:『古民家再生住宅のすすめ』晶文社 季刊『Woody Life』No104 『いい家は無垢の木と漆喰でつくる』ダイヤモンド社 『木の家に住むことを勉強する本』社団法人農村漁村文化協会 『人にやさしい自然住宅のつくり方』山下出版 |
||||||||
|
|
|||||||||
|
←BACK |