神楽坂建築塾 第六期 修了制作

I LOVE SANCHA  〜愛着のもてる街〜

神楽坂建築塾研究生 加藤 雅子

目次

はじめに

5..三茶の緑

2.街角広場

6.猫

3.三茶の店

7.世田谷線

4..商店街

8.本当の豊かさとは


1.はじめに

 

 日本人は自分の住んでいる街にどれほどの愛着を持っているだろうか。

去年ボストンマラソンに参加したときのこと。マラソンはボストンで一番大きい行事の1つで、町あげてのイベントである。市民はマラソンに参加する人もいれば、沿道を陣取って応援する人、走っている人に水やオレンジを差し出す人・・とにかく町中が一体となって楽しんでいる雰囲気だった。
 日本でも地方や下町のお祭りなどはそういう雰囲気もあるかもしれない。私の住んでいた町は、小さい頃はお祭りの時に近くの神社や公園に出店が出たり、おみこしをかついで町中を廻ったりということもあったが、最近ではその光景もあまり見られなくなっている。
 先日20年住んだ駒沢を離れ、隣町の三軒茶屋に住むことになった。この町に住みはじめて2ヶ月半になるが、この短期間の間にすっかり三茶のとりこになってしまった。三茶は昔から知っているし雑然とした雰囲気は実はあまり好きではなかったので、どこが好きかと言われると難しい。この街の魅力はどこにあるのだろうか。

三茶の道
 三軒茶屋の駅は国道246と世田谷通りの分岐点にある。また田園都市線から世田谷線へ乗り換える駅でもある。いろいろな意味で交差点にあたるこの街は人の流れが絶えず、さらに自転車はものすごい量である。駅前は雑然としてるがその一方で、一歩町中に入れば地元の人の生活の場として機能している。

    

駅前の放置自転車

R246と世田谷通りの分岐点

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2.街角広場

 三茶は家々が密集していて、狭くて車が通れない道がかなりある。歩いていると行き止まりだったり、くねくね曲がってひとまわりしてしまったりと散歩する分には楽しいのだが、災害時に消防車などが入れない地域も多い。そこで20年以上前から区が土地を買い、街のあちらこちらに小さな広場や公園をつくっている。「さくらひろば公園」「とんぼひろば公園」、「すずむし広場」・・広場には災害時のための防災設備が整備されていたり車両が入れるようにしている。密集した住宅地を歩いていて小さな空きスペースを見つけると、なんともいえずほっとする。

この先道路せまくて自動車の通行できません

       

  かどっこひろば          だんだんひろば        かえるひろば

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3.三茶の店

 三茶の地名はその名のとおり、江戸時代に3軒の茶屋があったことに由来する。三茶にはたくさんのお店があり、日常生活に必要なものはこの街で全てそろう。仕事で遅くなる時には外食も多いのだが、その時の気分でいろいろな時間を過ごすことができる。
 夜中に腹ぺこで帰ってきても軽くお腹を満たせる餃子屋さん、疲れてくたくたのときには短い時間でもゆっくりした時間を取り戻せるカフェ、ちょっと飲んで帰るときには食事もつまめるバー、夜ゆっくり飲みながら味わえる蕎麦屋さん・・他にもお父さんたちのための焼き鳥屋さんやおでん屋さん、家族で一緒に味わえる中華屋さん、とあげればきりがないのだがお店には地元の人が多く集まり思い思いの時間を過ごしている。

 

               

        すずらん通り               エコー仲見世商店街

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4.商店街

 三茶にはたくさんの商店街がある。それらの商店街はお店の傾向も集まる人も違うし、人が集まる時間帯も雰囲気もそれぞれに特色がある。そのため三茶の街は一日中躍動感のある印象がある。駅周辺の人通りの多い商店街、住宅街の生活感溢れる商店街、夜になると飲んべえ達が集まる通り、そして昔ながらの少しさびれた商店街・・ほんとうにいろいろな顔を持っている。休日、歩行者天国になるときには店が道路まで出てきて平日よりも活気づき、人々も集まってくる。まだまだ昔ながらの商店街が健在だが、やはりスーパーとは違いそこには人と人とのつながりがある。

          

    威勢のいい魚屋さん     八百屋さん    おいしそうな果物がたくさん並ぶ

    

                    ちょっとレトロな商店街

               

               いろいろな顔をもつ商店街

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5、三茶の緑

                                           

 三茶はごみごみしているようにみえるが、実は緑があちらこちらにある。お寺の境内の木々、街角広場、緑道、そして家々の庭先にある緑・・まとまった大きな緑ではないけれど、点々と街の緑がつながっている。

烏山川緑道
 子供連れのお母さん、犬の散歩をする人々、車椅子のお年寄り・・みんなの憩いの道がある。三茶唯一の、幅がひろくゆったりした歩きやすい道かもしれない。小川のせせらぎを眺めつつ、道路を歩いているよりも自然とスローペースになる。

三茶の人
 三茶ではお年寄りから若者、子供まで老若男女さまざまな世代を見かける。それぞれの世代の居場所が三茶にはある。

街を守る人々
 夜になると「火の用心」という拍子木の音が聞こえてくる。街の防災を考える人々、放置自転車を片付ける人、落ちているゴミを片付ける人・・自分の街は好きだけど、その街を守ろうと実際に行動に移すことは結構難しいことだと思う。自分たちの街を真剣に考え、よりよい街にしていこうという人々を見ていると、自分も街を守りたいという思いが生まれてくる。

      

 烏山川緑道

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6.猫

 三茶の街には猫が多い。道や広場や庭先で・・街を歩いていてたくさんの猫に会った。生き物がいる街は自然で、ほっと力が抜ける気がする。

     

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7.世田谷線

 路面電車。ゆっくりしたペースで走り過ぎる光景は実にのどかだ。昔から変わらず人々の大切な足となっている。

  

世田谷線

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8.本当の豊かさ

 三茶はいろいろな要素が混在した街だ。ビジネス街でも繁華街でもないし、住宅地というわけでもない。いろんな要素が集まっているのだが、その根底にあるのは昔からある風景や町の歴史といった、人々の心に残る原風景であることに気付かされる。人工的につくられた街には生まれない、人や歴史が織り交ぜられている街。この街に住み、そのひとつひとつの糸が見えてきた時にこの街への愛着が生まれてくるように思う。三茶はたしかに便利だが、それだけではない。目にはみえない豊かさがこの街にはある。

    

 聖徳太子が祀られている円泉寺     キャロットタワー スーパーと商店街が共存している

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