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東京の大学に進学後、某大手木造ハウスメーカーに営業として勤め始める。時代はまさにバブル期にさしかかろうという頃である。会社は10,000棟の受注棟数を目指し突っ走っていた。そして受注棟数の伸びとともに建てる建物はますます企画化が進み、プレハブ化していくそういう時期であった。総合住宅展示場に来られる一般のお客様はハウスメーカーに対してキレイでベンリなステキな生活がそこにはあるのではないかという期待と大手一流企業というブランドで建てたという満足感を求めてやって来る。一方、ハウスメーカーはそんなお客様の購買心理をくすぐるイメージ戦略をめぐらせるという図式は今と同じである。
現在は埼玉県で木材建材流通=いわゆる町場の材木屋に身を置く。紀州材の関東での販売の窓口として構造材を供給し、その他住宅資材全般を扱う。販売の対象となるのは地場の大工さんであり年間数棟から数十棟の地場の工務店である。地場工務店を取り巻く環境は一部を除いて年々厳しくなっているように思う。 一般的に地場工務店は独自のコンセプトのある商品を持っていないことが多い。また受注先についても親の代から引き継いだ地縁血縁に基づく紹介などに受注を頼っていることが多い。私が今の仕事に就いた10年程前までは特にそうであったように思う。ネット文化が普及した現代において家を建てたい人はいつでも誰でも欲しい情報を得ることができるようになった。さらに、この10年というのは受注競争が激化している。特に1990年代後半からのパワービルダーと呼ばれる超低価格で販売する分譲会社の台頭は目覚しい。それらが独自商品を持たず、積極的な情報発信の苦手な一般の地場工務店の受注を圧迫してきている要因のいくつかであろう。
さて、町場の材木屋業界であるが、その環境は工務店業界のそれに輪をかけて厳しい状況にある。材木屋はお客様である工務店が仕事をとってくれて始めて仕事が生まれる業種である。それが一部の積極的な工務店を除いて受注が細っているのだ。また、工務店の経営者が高齢化し後継者もいないなどで廃業され、お客様である工務店そのものの数が減ってきている。また、当然厳しいコスト競争にも打ち勝たねばならない。私達の場合は国産材の杉・桧を主力商品として販売しているのでどうしても構造用集成材とのコスト競争がついてまわる。前述のパワービルダーのほとんどは構造用集成材を標準採用している。そして構造用集製材と構造プレカットとは極めて相性が良いのでパワービルダーの台頭と足並みを揃えるように大型のプレッカト工場も現れてきた。その中には時間当たり20坪以上加工し月産で6万坪(30坪換算で2千棟)も加工できる効率化を極めたモンスター級の工場も現れた。そのような大型プレカット工場や大資本流通との競争は今後も一層激しくなるであろう。しかし、地場工務店の中でも高い志と確かな戦略で確実に成長している工務店がいるように材木屋もその存在意義を明確に示すことで流通の中に自らのポジションを築くことができるのであろうと思う。
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