神楽坂建築塾 第六期 修了制作

『家をつくるということから考える』
私たちは、地球という星に住む生き物である

神楽坂建築塾研究生 千葉 弘幸

目次

【prologue/序章】

【execution/施工】

【project/計画】

【completion/竣工】

【plan/設計】

【epilogue/後書き】


【prologue/序章】

 当たり前のことですが、人が生きていくために必要な物があります。それは空気であり、光(太陽)であり、水でありその他多くの要素によって人は暮らしをしていくことができます。実は人間以外の動植物にもこれらは必要であります。しかしながらこれらの多くは人間という生物によって日々汚されています。地球という大地に家をつくりそこに暮らす私たちは今後どのような生活を心がければいいのでしょうか?そんな素朴な思いを自分が日々携わっている仕事を家をつくるという行為の中から考えてみたいと思います。

 

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【project/計画】

 家をつくる人(この場合は施主)なぜ家を造るのでしょうか?たとえばそれは、今暮らしている家が古くなったからであったり、結婚をして新たに生活を始めるための物であったり、都市計画(区画整理)や新規開発事業のために立ち退かなければならないからであったりと人それぞれであります。中には2件目3件目と豪華な生活をしている人もいると思います。そのような人は家をどのように計画しているのでしょうか?少し前なら当たり前に住宅展示場に行きまるでデパートで買い物をするように家を選んでいたのではないでしょうか?「こちらのメーカーは2?4だ、こちらは軽量鉄骨だ、さらにこちらはプレハブだといろいろな工法(構造)に分けられあたかも人々の暮らしが裕福でのんびりとさらに人より豪華になるような事になっていたのでは無いでしょうか?そのような住宅は、今どのようになっているのでしょう。実際にこの仕事(建設業)をしているとリフォームの話もやってきます。しかし事、在来木造住宅(この言葉はあまり好きではない、だいたい勝手に在来などというあたかも古い物の様な呼び名は誰が付けたのであろう?いいにくいがやはり木造軸組工法かな?これもピントはこないが・・・)であればリフォームはやりやすいが、2?4や鉄骨、プレハブなどはやりにくい。これらの住宅は今後どのようになっていくのでしょうか?話がずいぶんとずれてきたので元に戻すと、この少し前よりさらに前に戻すと地元の工務店(大工さん)に「よろしくね!」というような信頼関係!?で家づくりが行われていたのではないでしょうか?いつの時代かメ家をつくるモという文化は家を買うといういわゆる住宅産業へと変わっていってしまったのでは無いでしょうか?18世紀におきた産業革命のごとく(日本では19世紀末はじまった)産業のための家づくりがはじまった。このことは確かに現在から見れば反省すべき点が多々あると思われるがその時代、戸建て住宅を手に入れるという多くの人々の願いを叶える事になったこともあながち嘘では無い。しかし、ある建築家の人と話した時には「現在ある不良物件を今後どうするのか?も大切な仕事だね」と話した事もあった。

本当に大切なのはこれからどのように家をつくる(解体作業を含めて)計画をするかということである。では実際にどのようにしていこう?

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【plan/設計】

 家をつくるのにはまず、敷地の状態や法的チェックを行わなければならない。おそらくは、このような事をふつうのメーカーや工務店、設計士はやっているだろう。だいたいこの法的チェック=建築基準法には、初めに何がかかれているかというと。

(目的)

第1条 この法律は、建築物の敷地、構造、設備及び用途に関する最低の基準を定めて、国民の生命、健康及び財産の保護を図り、もつて公共の福祉の増進に資することを目的とするとかかれているのである。基準としては最低なのである。また国民の生命、健康及び財産の保護を図るらしい。そういえば最近できた法律でシックハウスの規制に関わる規制の適用関係について・・・の改正建築基準法(平成14年国土交通省告示第1113号)、いわゆるシックハウス法である。これは確かに国民の健康について定めた基準(私はそう理解していますが・・・)を法律化した物だが規制している化学物質がたったの2種類(クロルピリホス・ホルムアルデヒド)にしかなっていない。まあ、何も規制しないよりはいい。しかし、厚生労働省が室内濃度指針値を設定している化学物質だけでも13種類ある(ホルムアルデヒド/トルエン/キシレン/パラジクロロベンゼン/エチルベンゼン/スチレン/クロルピリホス/フタル酸ジ-n-ブチル/テトラデカン/フタル酸-2-エチルヘキシル/ダイアジノン/アセトアルデヒド//フェノルカルブ)が実は、このほかにも住宅や建築に使われている化学物質は数百種類にもあがるとされている。このように法で定めたから安心なのではなく、うるさいようだが基準法の第1条にも書かれているようにこれは最低の基準なのである。家をつくるためのプランニングはもっと上の知識や見識を持って行わないとならないのではないか?ではそのような知識や見識はどのようにして学ぶのか?実は最近新しく学ぶのにはうってつけの物が出てきた。それはインターネットなる物で、キーワードを入れれば目的物が探せる可能性があるのである。(常識ですよね、これは!)しかし専門用語が飛び交う中、建築に素人の施主がどのようにして学べばいいのか?実際使ってみると意外に探せない。前文で書いた厚生労働省の化学物質規制の事を探そうとしても検索エンジンには意外に出てこない(私だけか?)そこで昔からあるのが本である。最近ではかなり詳しく解説している本もあり、なかなか情報を得る事ができる。が、しかし本にもいろいろと種類があり(住宅関係の雑誌投資家わかりませんが)、中には広告として載っている物やよくわからないが協賛金的な物を払うと乗せて頂ける雑誌もある。これでは一般のユーザーから見たら何が本当で何が嘘(言い切っていいのか?)のかわからない。実際にあったことですが当社に問い合わせをしていた顧客が本をたくさん読み、結果として断熱は内断熱がいいか外断熱がいいのかわからなくなってしまった人もいました。その人は迷ったあげくに家づくりの迷宮に入り込んでいってしまったみたいです。このように正しい情報を得るための方法が明確には無いのです。(施工している自分たちでさえ何が正しいかわからなくなる時がある・・・)その時点での最大限の情報を駆使して家のプランをしていかなければならないのでは無いのか?うむ?、自分の迷宮入りしそうだ!結局の所、いかに自分に合った建築のプロによりよいアドバイスをもらい、家をつくっていくしか無いのである。最後に私自身が思うプランニングの中には、時間的なプランニングも考えていきたいと思っている。これは何かというと、時間的なプランニングとは、時間軸に沿って変化していく家族や空間、周辺環境・地球環境も考えたプランにしたいと思う。こんにちでは、前文にも書いたように室内環境に関しての指針や法律ができているのですが、周辺環境やましてや地球環境に関することは一個人の住宅(住まい)ではあまり考えてはいないと思われる。たとえば太陽電池発電など地球環境に配慮した物の一つだとは思うのだが今現在では、もしも今すぐに全人類がCO2の発生を止めたとしても、二酸化炭素は増え続けるのです。私たち人類は、地球という生命体からたくさんのエネルギーをもらい発展してきました。その地球のエネルギー自信がもう人類は借金生活となってきているのです。このことはあるセミナーにおいて東京大学の山本教授講義を受けた際に習った事で、その山本教授が書いた『1秒の世界』という本の中にはメ1秒間にテニスコート20面分、5,100Fの天然林が消失し・・・/あなたがいま、森の入り口に立っているとする。)その足下から1秒でテニスコート20面分、1時間でセントラルパーク5つ分、1日で種子島の総面積に近い440H2の森が消えていく。天然林は1990年代だけで、日本列島の約4倍以上にわたる161万H2が失われたといわれている。森林消失の要因は地域によって異なるが、農地や牧草地への用途転換(いわゆる焼き畑農業)が主な原因となっている。ここまで読んでじゃあ木造住宅を造る木を伐採してはいけないのでは?と思った人もいると思いますが、森はサイクルできる資源であり、さらに木材は二酸化炭素をためておくことのできる貴重な物でもある。問題は山本教授の書いたように用途転換における森林の消滅である。木は燃えるとただに酸化炭素を放出するのみで何もよくならないのである。ではなぜこのようなことをしているかというとかんたんにいえば世界経済のせいである。貧困の差が生んだもっともみっともないメ豊かさモなのではないだろうか?たかが住宅のプランニングで世界経済までは行き過ぎだとお思いでしょうが、それこそ問題で地球という生命体に対して今すぐにできることをやらなければならないのです。

 

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【execution/施工】

 いろいろ検討し、プランを練った後には当然工事着工が待っているわけですが、それぞれの人々が今できることを、自分のできる範囲内でやっていけばいいと思います。当然家を建てるのには相当な建築費がかかるであろう。その建築費を圧迫してまで地球環境や室内環境に対していいことをやろうとするととんでもないことになる。自分のできる範囲内で物事を行い、その先にあるであろう、地球とその地球に住むすべての生命体の未来を考えていけばいいのである。前章で書いた山本教授はメ1秒の世界の次の本を出している。それはメ世界を変えるお金の使い方という本で、貨幣(お金)という価値の尺度である物を使い物の見方を考えさせる物となっております。さらにこの本の中で教授は、メ現代において損なわれ見失われている、人間と人間、人間と自然、人間と神との間に本来存在する関係性を取り戻さなければなりません。人間はひとりで生きているわけではなく、自然に支えられ、他の人々と支えあって生きているのです。だからこそ「環境改善と社会改善」を常に心がけてお金を積極的に使いたいと思うのです。メそう教授は最初に出した1秒の世界という本とこのモ世界を変えるお金の使い方メという本で一対の物とし、みんなに考える事をさせていると思う。その証拠にモ100円で内モンゴルのホルチン砂漠に植えるポプラ苗木が10本買えます。水を与え、大切に育てれば、それはやがて10mのポプラ並木へと変わります/ポプラの苗木10本=約100円(中国モンゴル自治区での購入価格:2004年)メといった具合に消えていく緑を取り戻す運動も行われている事をこの本の中で紹介しています。たかが100円ですが大切に使えば何かできる事になるのです。では実際の工事中では私たちは何ができるのでしょうか?たとえば化学物質の多用された材は使わない事や、自然素材を多く使い環境に負荷のないサイクルできる物を選ぶ。最近、よくリサイクルという言葉を聞きますが、リサイクルは環境に負荷がないか?と考えると意外に負荷をかけてリサイクルされている物も多い。そもそもリサイクルというのはサイクルがきちんと成り立った上で考える物ではないか?サイクルができていないのにやれリサイクルだの再生だの、再生紙などはよく漂白されてから使われています。これでは漂白に使った薬品や水のサイクルはどうなるのか?また建築素材のメーカーでもある吉野石膏
http://www.yoshino-gypsum.com/index.html)でも壁や天井の下地に使われている石膏ボードの再利用も行っている。しかし上記のホームページアドレスから見てもらえばわかるように、生産全体の5%でしかない。しかし、火力発電所などで発生する亜硫酸ガスを無害化すると硫酸カルシウム(副生せっこう)が生まれます。これも利用しているのですが、実はこの副生せっこうは全体の50%も使われているのです。これも現代におけるサイクルの一つではないだろうか?家をつくるのもこうして一つ一つがわかっていくとさらにおもしろいのではないか?私は断然おもしろい!!!このような情報は施主同士でもお互いに交換しあっている場合があります。当社施主の一人の方などは、家づくりのホームページを施工が進むに従って、随時更新していき竣工と同時に工事編の修了。その後は住んでからのいろいろを更新しています。その中の掲示板ではプロも真っ青の討論会がなされており、施工する方の身になればミスをしたらと思うと冷や冷や物でした。だからというわけではありませんが、かえってすべてを正直に話し合うことをより正確により早く進めることができ、工事は至ってスムーズであった。お互いがさらなる理解をし、よりよい関係を結ぶことができたと思う。昔にあった地域の工務店との信頼関係である。                   

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【completion/竣工】

                                           

 工事は進み、やがてその家は完成を迎える。完成は一つのラインでしかないと思う。そう、スタートラインである。ハウスメーカーやビルダーたちは法に従ったアフターメンテナンスは行うが、時間軸に従った住まい方の変化には対応できないであろう。そう、スタートラインとはそこに施主と家との誕生日であり出会いの日である。その出会いから何年も何年もかけて本当の竣工をむかえていくのであろう。そしてまたいつの日かその家は終演をむかえ地球という大地にもどっていくのでしょう。これが家のサイクルである。ふと考えると私たちがよく言う古民家というのは当たり前にこのような事を行っていたのだ。当たり前の事を忘れた人間たちにいつの日か大きなしっぺ返しがくるのであろう。そんな事にならないようにがんばらなくてはと思うのです。自分たちの近くにあるほんのわずかな環境を守ることができた時にはそこに見えてくるであろうモ古いまちや集落に学ぶほんとうの豊かさとは何か?メを感じることができるのでは。        頁はじめに戻る

【epilogue/後書き】

 今、手元に一冊の本がある。辻信一著書のメスロー快楽主義宣言/愉しさ美しさ安らぎが世界を変えるモという本である。この本の中に《100万人のキャンドルナイト》というのがある。たわいのないことで、夜の二、三時間電気を消す。それだけのことである。これを全世界でやれば「暗闇のウェーブ」が起こるのでは?というのである。とてつもなくくだらない事なのだが、宇宙から見た時にそれがウェーブになって事を想像するとなぜかほっとするのです。この動きは現在も続いている。次回日本では2005年6月21日20:00?22:00に行われる予定です。是非みなさんで参加してみませんか?もっと家にいること、暮らすことが楽しくなると思います。

※ 100万人のキャンドルナイト http://www.candle-night.org/            

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