うたと文・ゆふねなおこ


   
大  触
ク  覚
ス  を
ノ  よ
キ  び
の  さ
幹  ま
を  さ
抱  れ
け  し
り  指
   を
   も
   ち

日々を歌う 18

もうひとつの感覚


 人間には、数多くの感覚が或るにもかかわらず、私は視覚と聴覚に大きく依存して生きてきたように思う。けれど最近、触感というものがとても気になりだした。

 ある日、何気なくトチノキの若い葉に触れた時、そのあまりのやわらかさとしなやかさにびっくり。そういえば、人は花を見て美しいとは思っても、それに触れてみる人は少ないのではないか。あのトチノキの葉に触れて以来、私はどうも植物感触フェチにでもなってしまったようだ。植物園などに出かけると、とにかく色々な植物に触れてみたくなる。今では美しい花を見たら、その香りを楽しみ、そして触ってみることも大切な要素となった。とはいっても、なかには毒をもったものもあるから、そういう知識もなくてはいけない。

 今まで眠っていた感覚にめざめてゆく瞬間というのは本当に素晴らしい。これからも身近な自然の中で、思ってもみない感覚に出会うことができたら。

初出:1997年6月『アユミギャラリーニュース』第25号


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