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宮澤賢治が十八九歳の頃、失恋に終わったものの看護婦さんに恋してしまい、大変悩んでいたというエピソードを最近きいてアッと少なからず私は驚いてしまった。いままで賢治と恋というものを結びつけて考えたことなんて一度もなかったのである。
賢治というとなんだか恋愛なんていうものはポーンと飛びこえてしまっている人、というイメージを勝手に作りあげてしまっていた。妹トシへの恋にも似た愛情や、友人保阪嘉内との友情などはよく耳にすることだったけれど……。それにしてもこのエピソードをきいて私はますます賢治を好きになった。『土神と狐』の中の土神のように、もうわがままなくらい一人の人を好きであったのかもしれない。
「巨(おお)きの水素のりんごのなかをかけて」ゆくことのできる不思議な男、宮澤賢治が好きな人とは、いったいどんな人だったろう。そんなことを考えながら星空を見上げるのもなかなかいいものである。
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