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灯台を訪れる前、灯台という言葉の響きには何か私をわくわくさせるものがあった。それでも実際そこをのぼりつめて海を見渡したとき、これほど寂しい建造物が他にあるだろうかと、ふと思えてならなかった。今では光を投げかけることもないあの灯台の内側には、九九段の白い螺旋階段が静かに立っているきりだ。
そういえばレイ=ブラッドベリの短編に、『霧笛』というのがあった。百万年の時をこえて、海の底で仲間を待ち続ける最後の恐竜と灯台守マックダンの物語。気の遠くなるような時間と待つことの哀しみを淡々と描いたこの作品の中で、マックダンはこう言っている。
「この世の中では何をいくら愛しても、愛しすぎることはないって、そう思うね」
この物語の中では、マックダンが何を待ちつづけ何を愛しつづけているのかは語られてはいない。
灯台をはなれ、それを遠くからのぞむと、冬の外光の中で輝いていた。役目を終えてなお岬に立ち続けるあの灯台にはいったいどんな時間が流れてゆくのだろうか。
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