[ 眠れぬ夜 ]

 いやはや、暑いっ!依然として梅雨前線が日本列島をうろうろしているというのに。そんなことは露知らずといった感じで、お天道さまは今日も一水寮のトタン屋根をジリジリと熱し続けている。陽当り良好なボクの部屋はAM7時台で既に蒸し風呂状態となる。扇風機を「おやすみモード」から「強モード」に切替えてなんとか頑張って寝るのだが、8時頃には蒸し出される。すかさず冷えた麦茶飲み干し「くはぁ…」と意味不明の言葉を発するのが最近の朝の情景である。寮の温度は天気予報で言われる温度よりほぼ2℃高い。世間が30℃であれば32℃、35℃であれば37℃、38℃であれば…あぁ考えたくもない。冷房設備といえば当然のごとく扇風機のみである。しかし37℃の室内で扇風機を回した所で37℃の熱風が吹きつけるばかり。三台並べてみたところで気休めにもならない。
 それにしてもボクの部屋は蓄熱効果でもあるのだろうか。昼間ガンガン熱せられた三畳一間は夜になっても32℃ぐらいまでしか下がってくれない。だから世間で七日間連続の夏日と騒いでいた時なんか、ボクの部屋は24時間×7=168時間ぶっ通しで30℃を下らなかったことになる。よって快適な睡眠を得るためには何がしかの工夫が必要となってくるのだ。そう言えば去年の夏も試行錯誤を繰り返していた。
イ)「ペットボトルを凍らせて寝床に置いて寝てみる」……ペットボトルを置いた所だけが冷えるだけで部屋の冷却にはなんの役にも立たなかった。
ロ)「冷凍ペットボトルをクーラーボックスに入れて、それに手を入れて寝てみる」……手が冷えるだけ。しかもその態勢を保ちながら寝れるわけがなかった。
ハ)「冷凍ペットボトルの数を増やして、それを寝床の四方に配して寝てみる」……こりゃもう何だか怪しげな呪的儀式だ。うーむ…。
 今年はもっと科学的にいこうではないか。そうだ気化熱現象を利用しない手は無い。夕立の後のあの涼しさも実はこの気化熱現象のおかげなのだ。そこで窓のすぐ下にあるトタンの廂に水をまき、すかさず扇風機で冷やされた外気を室内に取り入れることにした。しかし、しかしだ。水まきをしてから何時間も扇風機を回し続けたというのに、室内の温度は気化熱作戦で下がったのか自然に下がったのか分からない程度しか下がらなかった…。考えてみれば夕立は広範囲の降雨によって家全体、いやその地域全体が冷やされるのに対して、ボクがやっていることは正に焼け石に水。───逆さてるてる坊主を吊るして夕立を天に乞うしかないかなぁ。

アユミギャラリーニュース68号(2004年8月)に掲載 

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