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霊感の強い人がここ一水寮に泊まると「誰もいないはずなのに足音が聞こえる」なんて怖いことを言うけど、幸いボクはそうゆー類いのことに関してはからきし鈍いので、そんな足音は聞いたことも感じたこともない。ボクに聞こえる足音といえば夜な夜な天井裏を駆け抜けていくネズミの足音ぐらいなものだ。 ボクの部屋の真上はどうやらネズミの通り道になっているようで、もーほんとによくネズミの歩く音が聞こえてくる。初めのうちはいちいち反応して天井を叩いたりしていたのだけれども、最近はもう慣れてきてしまった。ただ、不思議なことにこの足音が聞こえるのはボクだけで、他の住人は聞かないということだ。単に天井裏の構造的な問題なのか、あるいは──今までにボクが殺めたネズミたちが……。確かここに住み始めてもう通算でネズミを四匹も殺めてるし……。四!なんて不吉な数字!なーんて実はオバケ好きなボクは夢想するのであった。 また、最近になって聞こえてくるようになった物音がある。それは夜な夜なボクの部屋の隣りの柿の木から聞こえてくるのガサガサという音だ。最初は鳥かと思っていたのだが鳥は鳥目というぐらいだから夜活動するのはおかしい。そしてある晩、いつもと同じように音が聞こえてきたので今日こそ正体を暴いてやろうと懐中電灯片手にガラス戸を開けると、柿の木の枝にいたのは何とネズミだったのだ。つまり、ネズミたちはお目当ての柿にありつくために、ボクの部屋の天井裏を毎晩通っていた、というわけだ。柿の木にネズミなんてあまり気持ちの良い光景でもないが、台所荒らされるよりゃいいかなぁ、という気持ちだ。 物音といえば、時々「こいつぁーネズミじゃねーだろぉ!」という足音も天井裏から聞こえてることがある。なんか一歩一歩の重みが違うのだ。んで、こいつがネズミを追い回すらしく、こないだなんか、もう寝ようかなーなんて思っていたら天井裏をドタドタドタという複数のネズミの慌てた足音がしたかと思うと庇をつたって外に飛び出していった。ネズミを追い回してた奴の正体は多分猫なんだろうが、ひそかに妖怪大ネズミじゃないかしら、などと夢想してみたりもするのであった。 アユミギャラリーニュース70号(2004年12月)に掲載
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