[ とある設計事務所の風景 ]

「へぇー。サナエもピアス開けてたんだ。」
「ウン。学生の時に。って言っても去年だけどね。」
「ココ(この事務所)で開けてんのサナエとヒロミさんだけだね。」
「ヒロミさんなんか。左に3つも開いてんじゃん。」
「ホントだー!なんでそんな開けてんの?」
「ヤなことあると開けちゃうんだ。」
「ふーん。」
「よく3つで済んでんじゃん。」
「・・・・・・。」
「サチコも開けちゃいなよ。」
「エーッ!あたし、なんか怖くてできないーッ!」
「白い糸とか出てきちゃって、それ抜いちゃうと失明しちゃうって言わない?」
「大丈夫。大丈夫。」
「どうやって開けたの?」
「ウン。友達に安全ピンで。って言っても去年だけどね。」
「エーッ!安全ピンーッ!」
「大丈夫ーッ?炎症とかしないの?」
「大丈夫。大丈夫。安全ピンって言うぐらいだから安全安全。」
「それなんか違くない?」
「炎症の恐れありだね。」
「どのへんまで?」
「5mだよ。5m。離れなきゃ離れなきゃ。」
「ヒロミさんのはアミ入りだからいいんだよ。」
「ホントだー!」
「サナエのはダメー。炎症の恐れありーッ!」
「イケちゃんの意地悪ッ!」
「サッ、みんな離れて離れて。」
「サナエはちっこいから3mでいいにしてあげるよ。」
「なにッ!イケちゃん。その『いいにしてあげる』っての。」

そして次の日、サナエはアミ入りピアスをしてきたのであった。

※延焼の恐れのある部分:隣地境界線、道路中心線などから1階にあっては3m以下、2階以上にあっては5m以下にある建築物の部分。
※準防火地域以上の地域などにおいて、延焼の恐れのある部分にある開口部は網入りガラスとしたアルミサッシなど防火戸が要求される。
※アミ入り→金網→金属製のピアス



アユミギャラリーニュース67号(2004年6月)に掲載 

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