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どうやら建築がブームのようだ。建築専門雑誌の休刊が相次ぐ中、なぜか一般雑誌の建築特集が売れているらしく、特に、住宅それもリフォームが注目されている。テレビでは「渡辺篤史の建もの探訪」のリフォーム版「辰巳琢郎のリフォーム夢家族」なども好調で、ついには日曜日のゴールデンタイムにもリフォーム番組が登場している。 その番組「大改造!!劇的ビフォーアフター」は「匠」と呼ばれる建築家が住宅のあらゆる悩みをリフォームで解決し人気である。建築家というものを一般庶民に認知させた功績もあるようだ。「何と言うことでしょう!」とお決まりのナレーションと共に、毎回繰り出される「匠」のアイデアにはなるほどと感心するものもある。またこの番組でお約束となっているのが思い出の品のリメイクである。形見か何かの一部が姿を変えてテーブルか何かになっていて、「あっ!お父さんの……こんなところに……」と依頼者がそれを見て涙ぐんだりする。 アレッ!ちょっと待って。知らなかったの? どうやら、依頼者は工事中ノータッチで見ることもなく全てはお任せのようである。そして、できあがって初めて劇的に大改造された我が家へと赴く。「自分の家じゃないみたい」そう言って多くの依頼者が感激する。それは、誕生日に本人には内緒でいろいろ企画したりプレゼントしたりしてビックリさせるのに似ている。思ってもいなかったことをやってくれているので大抵は喜ばれるのである。 それにしても、住まいを全てお任せってのはどうしたもんだろう? 確かに依頼者が抱える悩みは深刻でもうお手上げって状態なんだろうけど……。いくら使わなくなったからといって、思い出深い形見のようなものを「匠」が勝手に切り刻んで他のものにしてしまうのもどうだろう?例えば、誕生日のプレゼントにとディズニーランドに行ってミッキー人形をあげたとしよう。それが相手のことを思ってやったことだからといって、必ずしも喜ばれるとは限らない。当然、事前に主たる好みとか希望とかのリサーチはしてあるんだろうけど、場合によってはスットコドッコイな勘違いとなることもある。そうなったら「ディズニーと言えばミッキーだ」とか「ミッキーもドナルドも似たようなもんだ」とか言ってみても後の祭り。だから、いくら「匠」だっていっても、これからずっと住む家でのお任せは危うくないか? 「やっぱりドナルドがいい〜!」とだだを捏ねたりする程度で済みそうにないんだから。ビフォーアフターのその後が心配である。 これは、住むということとは別のテレビとしてのエンターテイメントを優先させてはいないか?そもそも「匠」というのは、以前ブームだった料理やファッションにおける「達人」だの「鉄人」だの「カリスマ」だのといったものを明かに狙っている。住まいとしてのエンターテイメントがあるとしたら、それは三谷幸喜監督の映画「みんなのいえ」にあるような、造られていく過程で、住む人、造る人、それを取り巻く人などが入乱れる群像劇なのではないだろうか?そして、もちろん、その後の住む過程においても劇は続いていくのである。 ちなみに、「辰巳琢郎―」も「ビフォーアフター」もスポンサーはリフォーム会社ペイントハウス。最近ではショールームビルまで建てる勢い。そのビルのオープン当日は開店前から長蛇の列で、先着1000名にペンタくん人形がプレゼントされたそうである。 アユミギャラリーニュース61号(2003年6月)に掲載 index ![]() |