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かつての未来像、つまり高度経済成長期に夢見る未来は、科学技術が絶えず進歩し続け、それによって明るい未来がもたらされるというもので、多くの人がそう信じて疑わなかった。「鉄腕アトム」に描かれた未来はそのイメージが映し出されていた。 そして現在、景気は最悪だと言われながらも、丸ノ内や六本木、汐留など都心部の再開発がガシガシ進行中で、メディアはそれらを技術の最先端でオシャレなスポットとして連日紹介し、明るい未来を演出している。その反面、「2003年問題」なる問題も浮上している。既存のビルに入居している企業が再開発によって大量に発生したオフィスに移転することによって、既存ビルが空洞化する現象の事である。でも、それは急に浮上したというよりも、あらかじめ判っていたはずで、にも拘らずそんな事は気にも留めずにガシガシ巨大なビルを造るという事は、次の段階でまた既存ビルが超高層ビルに建替えられ、そしてそのまた次の再開発へと続く、いわばこれが「再開発ドミノ倒し」の序章に過ぎないことを意味する。これで、景気が良くても悪くても、建設は進められその度に経済は活性化され発展が約束される。メデタシメデタシ。というのが政府のシナリオなのだろうか?果たしてこれで明るい未来はやってくるのだろうか?なにか、騙くらかされているような気はしないか?明るい未来の幻影をダシに、実は未来を不問に臥し、今だけをその場凌ぎでやり過ごしているだけのような気はしないか?それは、立ち止まることへの罪悪感、あるいは恐れと言った方が正しいかもしれないが、今もなお疾走し続けるためだけの施策ではないのか? ところで、現代が描く未来像どうだろう?それはあまり明るいとは言えず、どちらかと言うと「ブレードランナー」に見られるような破滅のイメージが強い。 「鉄腕アトム」に描かれた明るい未来のイメージは、手塚治虫の願いと言った方が良いだろう。そこには「科学技術は万能である」という高度経済成長期的脳天気さはない。人間とロボットの間で悩むアトムの姿は、現代の人種差別問題であり、人間と科学のあり方への問いでもある。また環境問題にも警鐘を鳴らす。このままでは絶えず酸性雨が降る「ブレードランナー」の世界はすぐそこかもしれない。そして地球は人類に捨てられるのか?火星のテラフォーミングは理論的には既に実現可能であるらしい。 2003年4月7日アトムは誕生する。 アユミギャラリーニュース60号(2003年4月)に掲載 index ![]() |