|
1989年冬、増田悦子は、ポルトガルのリスボンで逝ってしまった。スペインで初めての恋を知り、抱えきれない未来を準備していた21歳のあまりにも無残な。リスボン郊外のオエイラスの夕暮れ時、国道6号繰を横切ろうとして、24歳の若い男の運転する車に吹き飛ばされた。ぎっしり詰まった青春の夢があっというまに破裂してしまった。 太平洋でなく、大西洋ではあるが、沈む夕陽の美しい海岸沿い、故郷の相良町と同じようなところで、死んだ。 空にむかって叫ぶこと この本は、母親の増田初江さんが、著者の生きた「あかし」を形にしたいと編み、一周忌にあわせて発刊された。残念ながら増田悦子はもう戻らない。しかし、この本によって、彼女はこれからも生き続けるはずである。 『住宅建築』1990年4月号 「私の本棚から」に掲載
index ![]() |