[ 壊されてゆく風景と散らかった部屋 ]

8 散らかった本

 僕はこのようにぼちぼちと原稿を書き進めている。散らかった部屋、散らかった本、1985年から始まった14年間の中国行きを反芻しながら、もうじたばたしない、自分の琴線で語ってしまおう、と思い始めている。
 最後に、僕を応援してくれている中国関連の散らかった本の一部を紹介しておくこと にする。

01・図説上海モダン年の150年(河出書房新社)/村松伸+増田彰久
モダン都市の150年。これを書いた村松伸さんは今度「図説北京」を書いているらしい。

02・どくろ杯(中公文庫)/金子光晴
最初に読んだのが1978年頃だった。次に読んだのが1989年8月。そして今また読んでいる。あてもなく逍遥する豊かさがつまっている。

03・中国民居(学林出版社)/陳従周・潘洪萱・路乗傑
中国に行ってもほとんど本や資料を持ち帰らないのだが、なぜか旅の終りの上海で買ってしまった。  

04・中国民居の空間を探る(建築資料研究社)/茂木計一郎・稲次敏郎・片山和俊
安徽省、浙江省、江蘇省、福建省、広東省の民居が考察されている。『住宅建築』に3回にわたって掲載されたものを新たに編集したもの。

05・桃花源里人家(黄山書社)/余治淮 
安徽省のイ県で買った小冊子。タイトルに惹かれた。中身は解読できない。 

06・新・大地の家(建築資料研究社)/鈴木喜一
我が拙著。「この本以下のものは許さない」とこの本に言われている。

07・集落の教え(彰国社)/原広司
この本を読みながら、原さんと平良さんの対談(『住宅建築』1999年4月号)を読んだ。「遠くをとびとびに見つつ、身のまわりを見る」というくだりに反応した。

08・雲南の生活と技術(慶友社)/C・ダニエス+渡部武編
武蔵野美術大学美術資料図書館から借りてきた本。第一章の田村善次郎先生の「西双版納少数民族の村寨を歩く」を読み始めている。

09・中国の水郷都市(鹿島出版会)/陣内秀信編
蘇州周辺の都市をこれだけ深く調査しているのか ! 、うーん。

10・建築の忘れがたみ(INAXギャラリー)/一木努他
壊される建物を見るたびに僕も忘れがたみのコレクションが増えてゆく。

11・海を渡った日本人建築家(彰国社)/西澤康彦
「この本をもって僕は東北地方を旅していたんですよ」と西澤さんに言ったら、ちょうど同じ日時に彼も大連にいたと言う。「ヤマトホテルで一杯やりたかったですね」

12・空海の風景(中公文庫)/司馬遼太郎
弘法大師を乗せた遣唐船は三千里という風浪を乗りこえてゆかねばならず、困難を極めた航海だったらしい。

13・モンゴル大草原遊牧誌(朝日新聞社)/張承志
日常を軽々と移動して生きる民族の寡欲さに憧れてしまう。

14・北京都市空間を読む(鹿島出版会)/陣内秀信+朱自[火宣]+高村雅彦編
この本で実測調査をしている西四北三条11号の四合院に行ったら、「突然の見学はダメだ」と門番にあっけなく断わられてしまった。四合院の守りは固い。

15・生きている地下住居(彰国社)/窰洞考察団
地下住居を空撮するため、凧にカメラをつけて撮影したという話を秋山実さんから聞いた。「レンズから見た窰洞」の項を中心に再読中。

16・トンパ文字(マール社)/王超鷹
王超鷹さんには中国美術学院在籍にあたってたいへんお世話になった。王さんの自筆のサインがトンパ文字で書かれている貴重本。謝々。

17・中国の風土と民居(里文出版)/北原安門
東京堂編集部の小林さんが「鈴木さん、この本にも目を通しておいて」と言って持ってきてくれた。風土との関わりに重点をおいて垣間見る中国の民家。

18・『住宅建築』1990年4月号(建築資料研究社)/中国・貴州の高床住居と集落
この号を読んでからミャオ族やトン族の村にどうしても行きたくなってしまった。

19・蔵造りの町並(川越市文化財保護協会)/川越市伝統的建造物群に関する調査報告書
この世にあるものはすべて過ぎゆく。永遠なるものは「人間の記憶」であり、そのためのささやかな「記録」なのだ。

20・アジアの民家(相模書房)/川島宙次
「中国南西部の民家」の章をコピーし、リュックに入れて旅をしました。イラストにある民家がまだ現実に存在しているのを確認した時はうれしかった。

『住宅建築』1999年6月号 「私の本棚から」に掲載 

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